ネグリのランシエール批判からKADOKAWAの刊行中止を考える

2024年1月24日にKADOKAWAから発売予定だった『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』(原著:Abigail Shrier『Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing our Daughters』)はその内容の不正確さ*1とそれがトラ…

読書記録「ヤジと民主主義(北海道放送報道部道警ヤジ排除問題取材班)」

2019年7月15日に札幌市内で起きた安倍晋三首相(当時)による応援演説時に起きたヤジ排除事件とその後の裁判やそれを取材したドキュメンタリー番組の放送の記録、元北海道警幹部の原田宏二氏へのインタビューをまとめた本書は、道警のヤジ排除の問題点を包括…

「分割」の暴力に抗う

崎山政毅、田崎英明、細美和之による対談「歴史とは何か 出来事の声・暴力の記憶」を読んだ。歴史教科書問題や阪神淡路大震災、永山則夫の死刑から在ペルー日本大使公邸人質事件まで、多岐にわたるテーマを語り合う示唆に富んだ一冊だった。ここではマイノリ…

すずめの戸締りノート

震災後の文脈を汲んだ作品として、東日本大震災(以下、震災)当時幼少期だった子供を主題に置いたという点に注目したい。文学作品が例になるのだが、震災から間もない頃のそういった作品は多和田葉子の『献灯使』や川上弘美『神様(2011)』、高橋源一郎の…

2022/7/21

(・・・)書くことおよび描くこと(grophein)の起源にあるのは、表象の正確さ以上に、負債ないしは贈与であるということである。より正確には、この表象の運動を命じ、従ってそれに先行する信仰の忠実(フィデリテ)さが、表象以上に重要であるということで…